社交不安症(あがり症)に合併症がある場合
2023.12.08
社交不安症にどのような合併症があるか、またそれらをどのように整理し、治療していくかについてお話します。社交不安症と社交不安障害、社会不安障害、SAD(Social Anxiety Disorder)は同じものと考えてください。
社交不安症と合併症
社交不安症は合併症が多い病気です。中には80-90%の社交不安症患者さんに合併症があるとする報告もあります。当院では
合併症、併存症があると社交不安症の症状が重くなったり、治療抵抗性となりやすく、その存在を認識し適切に治療をしていくことが重要になります。
どのような合併症がある?
社交不安症でよく見られる合併症としては、全般性不安症や広場恐怖症といった不安障害、うつ病、強迫症、発達障害、不眠症、アルコール使用障害などがあります。
これらの合併症がある場合、重要になってくるのが因果関係です。社交不安症が合併症を引き起こしている場合、合併症が社交不安症を引き起こしている場合、またはどちらでもない場合によって、治療方針は変わってきます。原則としては、原因となっている疾患をより重点的に治療していきます。
社交不安症が原因で合併症が起こっている場合
うつ病や不眠症、アルコール使用障害(アルコール依存症)があります。社交不安のストレスでうつ病や、不眠症を来すことがあります。社交不安のストレスをごまかすために飲酒量が増えることで、アルコール使用障害(アルコール依存症)になってしまうこともあります。社交不安症の治療を行い、ストレスを軽減させることで、これらの合併症も改善してくることが期待できます。
合併症が原因で社交不安症が起こっている場合
当院では、発達特性が背景にあり、それが社交不安症の原因となっているケースが多く見られます。また、うつ病が原因で社交不安症を来すこともあります。この場合は、発達特性やうつ病に介入することで、社交不安の症状も改善してくることが多いです。
多くの不安障害は原因、結果でもなく、一緒に存在しています。この場合は、不安障害の治療は共通している部分が多いので、併せて治療を行います。
さいごに
社交不安症に他の病気が合併している場合を説明しました。合併症がある場合は特に、自分は社交不安症なのか分かりにくくなってしまうかもしれません。いずれにしても、人前での話が苦手で困っている、などといったことがあれば、一度相談をしてみてください。