社交不安症(あがり症)の治療 パフォーマンス限局型の場合
2023.12.04
今回は社交不安症のパフォーマンス限局型と呼ばれるものの治療の概要についてお話します。社交不安症と社交不安障害、社会不安障害、SAD(Social Anxiety Disorder)は同じものと考えてください。
パフォーマンス限局型社交不安症とは?
社交不安症の中でも、特定のパフォーマンスの場でのみ社交不安が起こり、それ以外の社交場面では特に症状がない場合をパフォーマンス限局型と言います。パフォーマンスの種類として多いのは、人前での話ですが、他にも演奏したり演技をしたりする場面ですごく緊張するという人もいます。
パフォーマンス限局型社交不安症の治療
社交不安症の治療には薬物療法と精神療法があり、これらを組み合わせていくのはパフォーマンス限局型であっても同じです。
社交不安症の薬物療法を選択していく際に重要となるのが、頻度と、タイミングがわかるかです。例えば会議などは予定が決まっているので、おおよその時間がわかりますが、電話はいつかかってくるか分かりません。事前にタイミングがわかり、そこまで頻回でなければ頓服という選択肢もありますが、しょっちゅうタイミングも分からずに起こってくる場合は、原則として毎日同じタイミングで内服するタイプの薬を選択します。
社交不安症に対する精神療法には認知行動療法があります。社交不安症の認知行動療法の場合は、行動療法や暴露療法、リラクゼーションテクニックも含まれてくることが多いです。認知行動療法は、クセの修正であったり技術の習得といった側面があるため、即効性には乏しく、ある程度の時間と労力を要しますが、他の場面への応用が効き、副作用がほぼないといった魅力を持ちます。
さいごに
社交不安症は発症してから受診までに10年近くかかることが多いというデータがあります。実際に受診した方々から、「こんなことで受診してよかったのか」と聞かれます。テレワークが終わってプレゼンの機会が増えた、管理職になったので結婚式でのスピーチを頼まれる機会が増えて困っている、など色々な悩みがあり受診されます。これってパフォーマンス限局型ってやつなのかな?と思ったら、一度相談をしてみてください。