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コラム

社交不安症(あがり症)で見られる心理バイアスその2

2023.12.21

社交不安症の人には、いくつかのバイアスが生じていることがあります。よく見られるのが、スポットライト効果や透明性の錯覚と言われる、自己中心性バイアスの一種です。今回は、透明性の錯覚についてお話します。社交不安症と社交不安障害、社会不安障害、SAD(Social Anxiety Disorder)は同じものと考えてください。

 

スポットライト効果については、こちらhttps://pedi-health-clinic.com/726/ で紹介しています

 

透明性の錯覚(Transparency Illusion)とは

透明性の錯覚とは、自分の考えや感情が他人からどの程度見えているかを過大評価してしまう認知バイアスのことです。

 

透明性の錯覚には次のような例があります。人前で話をするときやプレゼンテーションのときに、緊張や不安が他の人に伝わっていると思い込んだり、交渉中に自分が何を考えているかが他人にわかると思い込んだりするといったことがあります。また、この錯覚は自分の内面が他人に透けて見えると思うことの反対の側面も持ち、他人の感情や思考をどの程度まで読み解くことができるかも、過大評価しがちになります。

思ったよりは伝わっていないのは、隠したいことだけではなく、伝えたいことも同様です。さりげなくヒントを出して、自分が望んでいることを相手に伝えようとしているつもりでも、相手には思っているほど伝わっていないかもしれません。

 

透明性の錯覚が生じる理由

他人が自分をどう見ているかを想像するときは、自分の視点を基に想像します。自分が何を考え、どう感じているかを知っているため、他人も自分が何を考え、どう感じているかを知っていると考えがちになってしまいます。

 

透明性の錯覚を知ると

自分が緊張や不安を感じているかどうかは他人にはわからないということを理解することで、他人の前でのパフォーマンスの際に、今までより自信を持ち、自意識過剰になることなくすむようになります。さりげないヒントをもとに、相手があなたの望みを察してくれるとは考えなくなります。相手が自分の望みを知っているかどうか確信が持てないのであれば、自分の望みを明確に表現しましょう。また、相手も自分が何を望んでいるかを明白にしていると思っているかもしれません。相手が何を望んでいるかを明確に尋ねるか、相手の行動を解釈する際に透明性の錯覚の影響を考慮すると、コミュニケーションがいままでより上手くいくかもしれません。

 

知識の呪い

透明性の錯覚と似ている認知バイアスとして、知識の呪いがあります。知識の呪いとは、専門知識の呪いとも呼ばれ、あるトピックについて誰もが自分と同じことを知っていると誤って思い込む傾向のことです。そのため、知識を他の人と共有したり説明したりすることが難しくなります。透明性の錯覚と併せて知っておくことで、コミュニケーションがスムーズになるでしょう。

 

 

さいごに

スポットライト効果などの認知バイアスは、社交不安症(あがり症)だけではなく、私たちの日常生活や人間関係に影響を及ぼす可能性があります。それを防ぐためにはまずその存在を認識することが大事です。