社交不安症について
2023.07.21
-社交不安症
人前で話す際に顔が赤くなり、多量の汗をかき、声が震え、話せなくなることがあります。自分は緊張しやすい性格だ、と考えて諦めているかもしれませんが、もしかすると社交不安症という、保険治療の適応がある病気かもしれません。
社交不安症/あがり症は、社交場面に、不安・緊張を覚え、著しい苦痛を感じたり、その場面を回避しようとしたりします。
-社交場面とは
社交場面の例としては、以下のようなものがあります。
会議での発言、プレゼン、スピーチなど、人前で話をする
人前で食事をする、飲酒する
人前で字を書く
初対面、よく知らない人と会う、電話で話す
目上の人と話す
人々の注目を浴びる
公衆トイレを利用する
これらの多くで不安・緊張が強くなる人もいれば、少しだけの人、一つだけの人もいます。特に人前で話すことやパフォーマンスに対して強い社交恐怖を持つ場合を、パフォーマンス限局型といいます。
-社交不安症の症状
社交不安症の方は、このような社交場面で不安・緊張といった精神症状に加えて、以下のような症状も見られます。
声が震える、声が出しにくい
手足が震える
動悸
顔面の紅潮(赤面)
汗が出る
吐き気がする、胃のむかつき、下痢
症状は多岐にわたり、赤面している気がする、声が震えてしまったらどうしよう、といった理由で緊張や不安が強くなってくることもあります。
-どれくらいの人が社交不安症で悩んでいるのか
社交不安症の人は、どれくらいいるのかという報告は、低いものでは0.4%から高いものでは12.1%とかなり幅があります。これは、調べ方や調べた場所、文化的背景が異なるためと思われます。日本では、0.4%-数%と低めの報告が多いですが、日本の文化的背景を考えると、実際はもう少し多くの方が社交不安症の症状で悩んでいると思われます。
-社交不安症の治療
社交不安症の治療法には薬物療法と心理療法があります
ガイドラインでは、薬物療法の第一選択としてSSRIという抗うつ薬を推奨し、それ以外にいくつかの第二選択以降の候補が挙げられています。心理療法としては認知行動療法などが推奨されています。
これらの組み合わせに明確な指標はなく、それぞれの方の症状や目標に適した薬物療法と心理療法を考えて行きます。
-最後に
社交不安の症状は、他の病気でも見られることがあります。そのため、社交不安の症状はあるけれど、他の症状もあるから、受診していいのかわからない、という方もいらっしゃるかもしれません。社交不安症かどうかはともかくとして、社交不安の症状で困っている場合は、一度受診し相談してみてください。
記事の執筆者
副院長:近野祐介