季節性感情障害:夏の躁と冬のうつ
2023.11.09
季節に左右される気分の波
季節性感情障害(SAD:Seasonal Affective Disorder)には、よく知られている「冬のうつ」だけでなく、「夏の躁」も含まれます。以前のコラムで冬のうつについて詳しく説明しましたが、今回は夏の躁に焦点を当てます。
夏の躁の特徴
夏の躁は、春になると冬のうつ症状が改善し、夏にかけて更に調子が良くなる状態です。7月と8月には、非常に活動的に過ごせることがあります。しかし、この過度な活動性が社会的な問題を引き起こすこともあります。
躁状態の症状には、以下のようなものがあります
- 理由もなく自信に満ち溢れている
- 睡眠不足でも問題ない
- 話し過ぎ、社交的過ぎる(しばしば失礼なほど)
- 非現実的なアイディアが次々と湧き上がる
- 衝動的で飽きっぽい
- 物事に熱中しすぎて周囲が見えなくなる
これらの特徴は、適度ならばプラスになるかもしれませんが、過度になると社会的な問題を引き起こすことがあります。自身の行動に対する認識と周囲の評価が乖離することも問題で、職場での評価低下、個人的なトラブル、借金、法的な問題などが生じても、本人は問題と感じないことがあります。
治療は双極性障害の躁状態に準じた治療(薬物療法、精神療法)になります。夏の躁は冬のうつよりは少ないですが、社会的な問題を引き起こしやすいため注意が必要です。また、冬のうつと夏の躁を経験する人が多い一方で、夏の躁のみを経験する人もいます。季節によって気分の波が大きく、生活に影響を与える場合は、医療機関へ相談してみてはいかがでしょうか